« 還暦祝いに | トップページ | 『虹色にランドスケープ』 »

2008/11/08

『島抜け』

20081108book_2

11月7日に、吉村昭の『島抜け』を読了しました。

この小説は、江戸時代に遠島刑になった講釈師・瑞龍が、3人の流人とともに脱島する話しを記した「島流し」、同じく江戸時代に不作によって村を離れた夫婦を描いた「欠けた茶碗」、明治2年に日本最初の献体をした元遊女をはじめ初期解剖の歴史を記した「梅の刺青」の3つの短編からできています。
江戸時代、明治初期と描かれる時代背景は、どれも現代とはかけ離れていますが、あたかも自分がその時代を見たことがあるかのようなリアルな感覚を与えてくれる1冊だった。
主人公は英雄ではなく、特別な事件があるわけでもない。
でも、それがすごくいい。
衝撃的なシーンで、効果的なバックミュージックはかからないし、静かに淡々と物事・時間が過ぎていくことを想像させる吉村昭の小説は凄いと思った!

|

« 還暦祝いに | トップページ | 『虹色にランドスケープ』 »

コメント

吉村昭作品、私ものめり込むようにして読みました。
古くは、遠藤周作の一連の作品、最近では熊谷達也の作品などに通底する歴史観と筆致が魅力ですね。
吉村作品には、自然と人間の接点を描いたものも多く、そういった作品群も彼の魅力ですね。

『島抜け』と青虫君の取り合わせがユニークです!

投稿: 本の虫 | 2008/11/08 23:10

本の虫さん
コメントありがとうございます。
私はまだまだ吉村昭の初心者ですが、本当に優れた作家ですね(私ごときが言うのはなんですが)。

そうそう、
遠藤周作の作品に非常に近いモノを感じます。
『沈黙』はまさにという感じですよね!
遠藤作品では、やはり宗教観が中心に描かれていますが、人々の心にある深く重い部分を、深く重いまま忠実に描ききっている所が、両者共に素晴らしいと感じます。

熊谷達也の描く自然モノも私は大好きです。
私には主人公の手や顔に刻まれた深い皺も、山で生活することで養われる鋭い感性も、全てが目に浮かぶようです。
歴史に名を残した英雄ではなく、名前なんて残らない多くの農民や山師たち一人々々が、“生きている”ということが本当に大切なことなんだと改めて実感させてくれます。

青虫君は、腹ぺこなんです☆

投稿: 日向日和 | 2008/11/08 23:42

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/526274/43053398

この記事へのトラックバック一覧です: 『島抜け』:

« 還暦祝いに | トップページ | 『虹色にランドスケープ』 »